「誓うよ。もう二度と離さない。
  だから、このままずっと・・・ずっと、俺の側にいて欲しい。」

 「わたしも、もう瑛くんと離れたくない・・・。」

  返事と共にこぼれた涙に、ホッとしたように目を細めた瑛くんが、優しく微笑む。

 「・・・ああ、離さないよ。ずっと一緒だ。」

 「うん。」

  しゃらり、と鎖が手の中で鳴る。託された珊瑚礁の鍵。これは誓いの証だ。
  見上げると瑛くんもわたしを見つめていて。
  目が合って、微笑み合いながら、わたしは尋ねる。

 「・・・もう触ってもいい?」

 「・・・・・・ダメだ。」

  返ってきたのはにべもない言葉。

 「ケチ・・・」

 「ケチじゃない。」

  ふてくされると頭に軽くチョップが降ってくる。

 「・・・俺が先。」

  ほっぺを包む優しい手のひらに、愛しさがこみあげてきて泣きそうになる。
  少し照れ臭そうに笑った瑛くんが、溶けてしまいそうなくらい甘く囁く。



 「・・・愛してる。」


 そして届いた柔らかな熱







  オレンジから紫に近付いた、夕暮れの砂浜を二人で歩く。
  瑛の長い足が刻む歩幅は大きくて、付いて行こうとすると砂に足をとられそうになる。

 「瑛、歩くの早い。」

  ずっと言わずにいた文句を言うと、前を行く瑛が振り返ってニヤリと笑った。

 「いつものことだろ。」

 「・・・知ってるなら合わせてくれてもいいのに。」

 「おまえが必死な顔して付いて来んのが好きなの。」

 「・・・性格悪い!」

  見られてた恥ずかしさでぷいっと顔を背けると、ゴメン、とちっとも悪びれてない声と

 「ほら。」

  伸ばされた手。

 「・・・言っとくけどー」

  その手を握って引っ張るように、わざとゆっくり歩く。

 「んー?」

  間伸びした返事をする瑛は、そんなわたしを面白がるような表情。

 「わたしホントはピュア系の服とか好きじゃないから。」

 「知ってる。偶然街で会うとき、いつもスポーティな格好してたしな。」

 「・・・ジェットコースターは苦手だし」

 「楽しいのは一回目だけなんだよな?俺が連続で乗ろうって言ったとき目が死んでた。」

 「・・・・・・。」

 「ホント負けず嫌いたよな、おまえ。」

 「瑛に言われたくないよ!」

  完全にむくれたわたしは、繋いだ手を振りほどこうと足を止める。

 「・・・ムダ。離さないって言っただろ?」

  だけど瑛の手に込められた力が、逆に私を引き寄せて。

 「別に意地悪でしらんぷりしてた訳じゃないよ。
  服も、遊びも、が俺に合わせてくれるのが嬉しかったから。」

  瑛の腕の中。声が体を伝わって響くのがくすぐったい。

 「・・・だったら少しは、わたしに合わせてくれてもいいのに。」

  言葉とは裏腹に、すねた気持ちが瑛の体温で溶けていく。

 「わかってる。次はの好きなとこ行こうな。」

 「・・・でももう、好きなとこにいるよ?」

  ぎゅうと抱き締められたまま、瑛の胸に耳を押し当てるようにして瑛の顔を見上げる。

 「ああ、海な。」

 「海も好きだけど、こうやって瑛にぎゅってされてるの、好き。」

 「っ!?」

 「瑛の隣がいちばん好きー。」

  一気に速くなった瑛の鼓動を感じながら、筋肉質な胸板に頬を摺り寄せる。

 「・・・」

 「あとホラー映画!」

 「・・・・・・。」

  べり、と突然引き剥がされる。

 「あ」

 「あ、じゃない!ホラーは無し。ゼッタイ無理。」

 「瑛の嘘つき!」

 「ほら僕、怖がりだから。ごめんね?」

  離さないとか言ってた手まで、あっさりと離してさっさと歩いていく。

 「瑛の嘘つきー。」

 「ウルサイ。足元見やがって。・・・危うく台無しになるとこだったじゃないか。」

 「台無し?なにが?」

 「俺の三年間の我慢・・・・・・ハァ。とにかくホラーはホント無理。勘弁して下さい。」

  形のいい眉を下げて降参する瑛が可愛くて、わたしは笑いながら瑛の腕に飛び付く。

 「じゃあ、桜が咲いたら並木道!」

 「・・・了解。約束だもんな。」




  誰かが言ってた。
  いつかとお化けは来ないものだって。
  でもいつかはちゃんと来た。
  瑛はちゃんと来てくれた。


 「なんだよ、ニヤニヤすんな。」

 「もう、ニコニコって言って!」

  ・・・どうせならお化けも来ないかな?


  わたしは海に向き直って、胸いっぱい空気を吸い込む。



 「頼むよ耐えられないんだーーーーーーーっ!!」

 「・・・このヤロウ」



  夕闇の中。真っ赤になった瑛に口を塞がれて。

  その温もりと、見上げた空に輝きだした一番星に願う。


  人魚と若者の幸せな明日を・・・・・・。



きみが好き

   とうとうリアルタイムに卒業式を迎えましたGS2!
さすがに感慨深く、気付けばだらだら長くなりました。
もっとすっきり書ける人間になりたいのですけどねぇ……

今回の相手を誰にしようかと迷った挙げ句、結局瑛をとりましたが、デイジーの小悪魔っぷり炸裂してます!
若・天地・真咲以外全員の悪女プレイ☆まずゲームじゃ不可能です!
……恐ろしい子!

わかりづらいかもなので補足させて頂きますが、女の子達はそれぞれ告白して振られたって感じに。
流れ的に女の子達がデイジーを心配してたって言うより、
「アンタは佐伯とくっついときなさいよ!」的な感じになってしまってますが、そうではなくちゃんと区切りを付けた方がいい!と、実体験に基づいて心配してくれてるんですね。
いやでもこっちもパラ上げにコマンド実行しといて、セーブアイコンが女の子になったら「チッ」ってなってましたんで。
女の友情……もろいです。

そして男の子たちが振った女にどう出るか

・誘われたら友達として出かける。それまでどおり接するのがハリーの優しさ
・誘われると償いの気持ちで出かける。軽いノリもクリスの思いやり。
・氷上はチョビの押せ押せに負けてしまう。
・志波は好きな女ができたら、絶対他の女の子とは出かけない!振った振らない関係なく!

とかって感じで書いてみたり。

あまりに長くなったので切りましたが、卒業記念なので、更にこの後とR18で初エッチ話など予定しております。需要があるかはわかりませんが(汗)
だけどエッチ話の方も、エロ100パーではなく、ほほえましい感じになると思います(どんなんだ。)

ではでは、ここまで読んでくださった様、アリガトウございました!!
09/03/02 09/06/28加筆修正